Cloudsurfer7で採用されたOnの新技術「CloudTec Phase」。そのクッショニングに初めは戸惑いを感じたものの、波の上を走るような感覚は走り込めば込むほど癖になった。
そのCloudTec Phaseを搭載した2足目のモデル「Cloudeclipse」について今回レビューしたいと思う。
「Cloudeclipse」のスペック
基本情報
メーカー | On(オン) |
名称 | Cloudeclipse(クラウドエクリプス) |
価格 | 21,780円(税込) |
重量 | 285 g(公式HPより) |
ドロップ | 6mm |
ミッドソール | 2層構造のCloudTec Phase |
テクノロジー | Speedboard®搭載 |
カラー(メンズ)4種類 | Fade | Sand,White| Sand, Black|Frost, Flame|Ivory |
カラー(ウィメンズ)4種類 | Fade | Sand,White| Sand, Black|Frost, Flame|Ivory |
シューズ重量実測
Cloudeclipseを実測したところ27.5cmで283gであった。見た目は、Cloudmonsterより重そうな印象を受けたが、実測では重量は同じであった。
直近のOnシューズの重量は実測ベースで、Cloudeclipse、Cloudmonsterが283g、Cloudsuerfer7は241gである。42g程Cloudsuerfer7の方が軽量という結果となっている。最近は、280g前後のシューズを良く履いている為、シューズ単体で重さを感じる事は無いが、200gのレース用シューズを履くと重量の違いを如実に感じてしまう。
サイズ感
サイズ感は、いつものランニングシューズと同じサイズで問題ないと思う。Onのランニングシューズを履いた事がある人は同じサイズで問題無い。
「Cloudeclipse」の外観
ミッドソール部分
ミッドソールは、Cloudsuerfer7に比べボリュームが増した。穴の数はCloudsurferと同じ9個だが、穴の位置や大きさ、角度はCloudeclipseオリジナルとなっている。Cloudeclipseは2層構造のCloudTec Phase®と謳われているが、私には2層構造の理解ができなかった。
弾力のあるミッドソール
ミッドソールの素材は、Cloudsuerfer7同様Helion Superform(ヘリオンスーパーフォーム)が使用されている。 Cloudsurfer7の時はミッドソールを手で押さえると簡単に潰れていたが、Cloudeclipseはボリュームが増したせいか潰れるものの少し力が入り弾力が増している。上の写真はミッドソールに同等の力を加えたものだ。Cloudsurfer7のようにソールを潰すには体感で4倍程度の力が入りそうだ。
アウトソール部分
アウトソールのパターンは、Cloudsuerfer7と似ていたが、Cloudsuerfer7のアウトソーるの菱形部分はミッドソール剥き出しであったのに対し、Cloudeclipseはアウトソールと同じ素材であった。
また、アウトソール面積もCloudsuerfer7より多く、これらの理由により耐久性はCloudsuerfer7より高いといえる。小石は挟まりにくそうなデザインはCloudsuerfer7から踏襲されており空洞部はCloudeclipseの方が少ない為より小石が挟まるリスクは低いだろう。
アウトソールに覆われていない剥き出しのSpeedboard (黄色い部分)は、Cloudeclipse独自の構造と言える。
アッパー部分
前足部
写真ではアッパーの素材はCloudsuerfer7と同じ素材が使われていそうだ。デザインはCloudeclipse方が凝った作りになっている。通気性はCloudsuerfer7と変わらない。
アッパー構造は2層構造となっており、アッパー部(外側)は大きめのメッシュ加工がしてある。インナー部は小さいメッシュ加工がしてある。メッシュで通気性を確保しながら、2重構造によりアッパー部の強度を高められている
シュータン
Cloudeclipseのシュータンには拘りが伺える。アッパーのインナー素材と同素材であるが、足が当たる甲の部分に左右2ヶ所クッション素材がデザインされている。(写真赤線部分)これにより足をしっかりホールドしてくれ、足あたりも優しくなっている。通気性はCloudsurfer7より劣る気がするが気になることはない。
アッパー全体
アッパー全体は、初めてCloudTec Phaseが採用されたCloudsurfer7に似ている。同色のグラデーションのアッパーが美しい。濃い部分と薄い部分は糸の色の違いもあるが、濃い部分が生地が厚く(強く)、薄い部分が薄くなっている。
写真で映す事が難しかったがインナー側から撮った写真だ。下と上の光の透過具合が異なるのがわかる。
ヒールカップ部分
ヒールカップは、アッパー素材と同素材でデザインは、Cloudsurfer7と酷似している。スイスの国旗もいつもの場所にあった。ヒールカップの厚みは、Cloudsurfer7よりCloudeclipseの方が薄い気がした。Onのマークは反射材が使用されており夜間のランニングに配慮されている。
「Cloudeclipse」のレビュー
ファーストインプレッション
Cloudeclipseのファーストインプレッションを書きたいと思う。
私が、Cloudeclipseを初めて履いた時は、疲労感も無く曇り空の中平坦10kmコースを走った感想だ。
単刀直入に「Cloudsurfer7」より好みだった。もう少し具体的に書くとすればCloudsurfer7より、安定しスピードが出やすい印象を受けた。6:00/kmから入りタイムを気にせず走っていたが、最終的に5:00/kmのペースで10kmを走っていた。
同時に「普通!?」というワードも脳裏に浮かんだ。説明が難しいが、「Cloudsurfer7で感じていた柔らかいクッショニングもなく、CloudTecの反発力も無いシューズ」=「普通」と脳内で変換されたのだ。でも感覚は「普通」ではなかった。このギャップが何なのかファーストインプレッションで解明する事ができなかった。
「普通だけど普通では無いシューズ」それがCloudeclipseの最初の印象だ。
最大級のクッショニングは無い
On公式HPのCloudeclipseの紹介には「最大級のクッショニング」とされている。
クッショニングを「衝撃を柔らかく和らげる」という意味とするならば、CloudeclipseはCloudsurfer7に完全に劣る。
これは、CloudeclipseにSpeedboard®が搭載されているからだと考える。(Surfer7は非搭載。)Speedboard®は着地時に生まれるエネルギーを利用して推進力を生み出してくれるものだ。写真の通りアウトソールのすぐ上にSpeedboard®がXで配置されている。
通常クッショニングとスピード(推進力)はトレードオフの関係だ。よって、クッショニングを最優先するのであれば間違いなくCloudsurfer7を購入する方が良い。
CloudTec Phase×Speedboardが生み出すもの
先ほど、CloudeclipseはSpeedboard®が搭載されていることでクッショニング性能がCloudsurfer7より劣ると書いたが、これは決してマイナスという意味ではない。
Speedboardが搭載されている事で、明らかにCloudsurfer7安定性と推進力が増している。適度なクッショニングと着地時の反発が非常に心地良い。少し誇張しているが、「まるで月面を走っているような感覚」だ。(無論、月面など走ったことは無い。)
そして、CloudTec Phase×Speedboardの組み合わせは、Cloudeclipseが初めてのモデルとなる。この組み合わせによる唯一無二のクッショニングと反発力は個人的に非常に好感を持っている。ファーストインプレッションで感じていた「普通だけど普通でないシューズ」は、このCloudTec Phase×Speedboardが生み出すクッショニングと反発力であると履いていくうちに理解した。
しかし、意地悪な見方をすると、CloudTec×Speedboardより反発力は弱く、Speedboard非搭載のCloudsurfer7よりクッショニングが少ない中途半端なシューズと捉えることもできる。
そうい意味では、Cloudeclipseは全てを持っていて、全てを持っていないモデルともいえる。
快適にスピードを上げる事ができる
LSDからペース走まで
先ほど、月面を走っているような感覚と書いたが、Cloudeclipseも走っていて楽しいシューズだ。LSDからペース走(4:20/km)まで卒なくこなしてくれる印象を受ける。スピードは、Cloudsurfer7より出しやすく、私の愛するCloudmonsterに匹敵するだろう。Cloudsurfer7で感じていたスピードを上げるとシューズの良さを損なう感覚も、4:20/km前後であれば感じる事はなかった。また、Cloudmonterと比べると反発力は少ないけれど、なぜか同等の推進力があるなという印象を受けた。
スピード練習には不向き
Cloudeclipseをスピード練習に使うかと問われるとその答えはNoだ。CloudTec Phaseは高速域には向かず、ある一定以上のスピードに達するとCloudTec Phaseが失われる気がする。(Cloudsurfer7よりは耐性はあるものの)試しに3:40/kmで走ってみたが、完全に靴の良さが死んでいる気がした。そもそもCloudeclipseはスピード練習を狙ったシューズでは無いと思うが。
このシューズをオススメする人
通勤ランシューズとして
個人的に、Cloudeclipseをどのようなシーンで使いたいかと問われたら「通勤ランシューズ」と答えるだろう。
Cloudeclipseはどのようなコンディション(身体の状態)でも受け止めてくれる。定時で帰る予定が、急な会議などで残業になりモチベーションが下がった時も、少しペースを上げて走りたい時もCloudeclipseならその状態を受け止めてくれる。復路のコンディションが読みにくい通勤ランにピッタリのシューズだと考える。
トレッドミルでの使用として
以外だったのは、トレッドミル(ランニングマシン)での使用に適していた事だ。これまで、トレッドミルでCloudFlow(2GEN),Cloud X(2GEN),Cloudmonster,Cloudsurfer、asicsのS4,メタスピードを試したが、Cloudeclipseが個人的に1番走りやすかった。
ウェイトトレーニングには向かないが、トレッドミルの使用はかなりアリだ。ジムで(フリーウェイトをせずに)マシントレーニングや、体幹トレーニング+トレッドミルという人はジム用シューズをCloudeclipseにするのも良いと思う。
Onランニングシューズ初心者の人
理由は、後述するが、Onのランニングシューズを履いたことないとにもCloudeclipseを勧めたい。
ランニング初心者
CloudeclipseもCloudsurfer7同様、ゴリゴリのレースシューズではない。どちらかと言うと楽しく走るシューズだ。SpeedBoardのお陰でCloudsurfer7より安定性が増しているCloudeclipseはよりランニング初心者向けかもしれない。
個人的にCloudsurfer7は、リカバリーシューズとして愛用している。リカバリーシューズが欲しい場合は、CloudeclipseよりCloudsurfer7をお薦めする。Onのシューズのラインナップが増え、棲み分けが難しくなっているがCloudeclipseとCloudsurfer7は棲み分けができる。
Onランニングシューズの基準となるモデル
全てを持っていて、全てを持っていないシューズ
Cloudeclipseを一言で表すと「全てを持っていて、全てを持っていないモデル」だ。個人的にこの表現が気に入っているので2回書いた。
現在Onのランニングシューズは様々なモデルが発売されている。もしあなたが、Onのシューズをまだ1足も持っていないのであれば、まずこのCloudeclipseを試してみてはどうだろうか。
より反発力を求めるのであればCloudTec搭載モデルに、よりクッショニングを求めるのであればCloudSurfer7に、より自分の求めるものに合わせて、Onのシューズを選ぶ基準となる。
そういう意味ではCloudeclipseはOnランニングシューズの新基準となるモデルになるといえる。(逆に唯一無二のクッショニングの虜になりCloudeclipseしか履けないということもあり得る。)
Eclipse(エクリプス)に込められた意味
Eclipse(エクリプス)は、天文学において日食、月食など光を失う現象を指し、一般的には「他のものを凌駕する」「他のものが隠れる」を意味する。その名前の通りCloudeclipseは、全てを持っている。全てを持っているが故に、尖ったものがなく一見普通のシューズのように思える。しかし、全てを持っている事がCloudeclipseの特徴であり、唯一無二のクッショニングを体現できる。
過去色々なシューズのレビューを書いて来たが、Cloudeclipseのレビューが1番表現内容を考えたそういった意味でもCloudeclipseというネーミングがピッタリのランニングシューズであった。
On公式サイトでも購入可能
Onのシューズやアパレルは、【On(オン)公式】 でも購入可能だ。
私もOn公式で購入するときがある。個人的にはアパレルの種類が実店舗や大型ECサイトより豊富なため良く活用している。また、ラストチャンス(過去シーズンのアイテム)で自分のサイズがあればかなりお得にOnのアイテムを手に入れる事ができる。
私は過去、スウェット、ランニングパンツ、タイツ等セール価格で購入する事ができた。シューズのサイズの在庫が豊富なことやサイズが合わない場合返品・交換が可能なことも【On(オン)公式】 の強みだ。
公式サイトはこちらから↓↓