Onというブランドには、ナイキやアディダスといった既存のメジャーブランドとはどこか違う“何か”がある。その“何か”に魅了され、今でも私はOnというシューズを好んで履いているのだと思う。
その”何か”が解る本が、元オン・ジャパン代表の駒田博紀さんが執筆された「なぜ、Onを履くと心にポッと火が灯るのか?」だ。
この本には、私たちを魅了するOnの“何か”が解ると共に、国内でOnがメジャーブランドになるまでの経緯、限られた予算の中でのマーケティングの方法、駒田さんの絶対的なブランド愛など様々な知識を得る事ができる本である。
On好きの方であれば、既に読まれている方が多いと思うが、Onのシューズを履いた事がない人や、スポーツに全く興味がない人でも楽しめる1冊になっている。
レッドオーシャンの中での成功
マーケティングの勉強にもなる1冊
私は、前述の通りOnというブランドが好きだ。しかし、Onというブランドを知らない人にも是非読んでもらいたい1冊だ。その理由は、レッドオーシャンの中での成功事例を知ることができる店だ。レッドオーシャンとは、競争が激しい既存市場を指すが、その中でもランニングシューズ市場はレッドオーシャンの中のレッドオーシャンである。
その真っ赤な市場の中で、今のブランド地位を築いた過程を知る事ができる。
レッドオーシャンも中でも戦えるエッセンスをくれる
本の内容を書けばネタバレになるので控えるが、当初マーケティングで使える予算が少なく、他のメジャーブランドとマーケティングの方法を変えざるをえなかった事により、今のOnというものを作ったのではないかと考える。結果、レッドオーシャンの中で今の地位を確立したのだ。
もし、最初から潤沢なマーケティング予算があれば、ブランド認知度という点では、今より早く浸透したかもしれないし、逆に浸透していなかったかもしれない。いずれにしても、既存のメジャーブランドになない“何か”という武器は得られなかったであろう。
駒田さんのブランド愛に脱帽
プライベートも赤裸々に
著者の駒田さんのプライベートな内容も赤裸々にこの本に綴られている。今まで知り得なかった、On成功の裏側も詳細に書かれている。
原動力の根源はブランド愛
読み進めて感じたのは、駒田さんのOnに対するブランド愛の凄さだ。Onに可能性を見出し人生を捧げる覚悟で挑んだOnを普及させる取り組み(敢えて仕事を書かない)は、脱帽に値し、改めて自身の仕事との向き合い方を考えさせられる1冊になった。
最後に
私がOnと出会ったのは2016年。はじめて購入したシューズはCloudflowだ。
当時は、Onというブランドの認知度が徐々に上がってきており、Cloudflowを履いていると、「気になっているんだけど実際どう?」とトライアスロンのチームメイトや、社内で趣味がランニングの人から感想を聞かれていた。
そんなOnが、今では大勢の方が履いている。それだけで勝手に嬉しくなる。そんな気持ちにさせるのが、Onの“何か”なのだと思う。
“何か”を詳しく知りたくなった人やマーケティングを考えなす糸口を探した人は、是非この本を読んでもらいたい。人生を変える1冊になるかもしれない。